プロペシアとは、男性特有の薄毛であるAGA(男性型脱毛症)を治療するために用いられる治療薬のことです。プロペシアは厚生労働省に正式に認められた数少ない治療薬のひとつですが、服用を継続するうえで身体にある種の副作用をもたらす可能性があります。具体的にどのような副作用があるのか、プロペシアのもつ治療効果と併せてご紹介します。

プロペシアとはこんな薬

プロペシアの副作用について知る前に、まずはプロペシアとAGAの関係について学びましょう。
プロペシアは、内服で治療効果のある成分を取り込むAGA(男性型脱毛症)の治療薬です。プロスカーという前立腺肥大症や前立腺がんの治療薬として使用されていましたが、研究の過程で男性の髪の成長を促す効果が認められ、AGAの治療薬として、再度研究が行われました。2018年現在では、世界60か国以上でその効果を認められ、日本国内でもAGAの治療薬として、厚生労働省から認可を受けています。

AGAについて

1 髪の成長をつかさどるヘアサイクル

毛が生える全身の皮膚には、毛周期(ヘアサイクル)と呼ばれる期間が存在します。ヘアサイクルは成長期、退行期、休止期という3つの期間に分かれており、2~7年の歳月をかけてそれらの期間を繰り返します。
このヘアサイクルの期間のうち、髪が成長する成長期は2年~6年と最も長く、成長期の間は途中で髪が抜けてもすぐに新しい髪が生えてきます。髪が成長を終えると、次に生えてくる新しい髪のために抜け落ちる準備を始めます。この準備期間のことを退行期と言い、2週間程度です。古い髪が抜ける準備を終えた期間を休止期と言い、この期間中は少しのひっぱるだけで簡単に古い髪が抜けます。そして、数か月を経て再び成長期を迎え、ヘアサイクルが繰り返されます。

2 AGAはヘアサイクルを縮小する脱毛症

AGAは、ヘアサイクルの成長期を短くすることで起こる脱毛症です。成長期が徐々に短くなり、髪が生えてから抜けるまでの間隔が短くなることで、細くて短い髪ばかりになり薄毛になります。産毛のように髪が目立たなくなり、最終的にはその産毛も抜けてしまいます。

3 ヘアサイクルが短くなる原因

ヘアサイクルが短くなる要因は、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれるホルモンが髪の成長を止める脱毛因子、TGF-βの発生を促すからです。DHTとは、男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素によって変質したもので、強い脱毛作用があります。
DHTがTGF-βの発生を促し、その因子が髪の成長を止めることで、ヘアサイクルが短くなってしまうのです。
ちなみに、男性ホルモンをDHTに変質する5αリダクターゼは、特に前頭部や頭頂部の周辺に多く存在するため、それ以外の場所ではAGAによる脱毛は起こりにくいとされています。

プロペシアに期待できる発毛効果

プロペシアの有効成分であるフィナステリドは、5αリダクターゼの働きを抑える効果があります。5αリダクターゼの働きが緩やかになることで、DHTが発生する量が減って脱毛因子であるTGF-βが作られにくくなります。その結果、AGAの症状を抑え、髪は本来のヘアサイクルを取り戻せるのです。

プロペシアには男性らしさを損なうリスクがある

ここまでDHTはAGAを引き起こす悪者のように説明しましたが、DHTは体に必要なホルモンでもあるのです。DHTは男性ホルモンより数倍強い作用のあるホルモンで、男児が大人の男性らしい体つきに成長するときに分泌されます。また、加齢に伴い男性ホルモンの分泌量が減ったときにも、それを補うために体内に作られ、男性らしさの維持に役立ちます。
プロペシアによってDHTの量が減少すると、男性らしさを保てなくなることがあります。プロペシアの副作用にED(勃起不全)、女性化乳房などがあることから想像できるように、DHTは男性らしさを保つために必要なホルモンなのです。

DHTの役割

DHTは男性ホルモンをより強力に変質させたもので、筋力や性機能の維持、骨の形成などの男性らしさに関係します。これら以外にも、意欲的な思考、メタボリックシンドロームの予防など心や身体の健康にも幅広く関わっています。
そして、プロペシアはDHTの分泌を抑制します。つまり、プロペシアの副作用にはDHTの減少が関係しているものが多いと言えるのです。

プロペシアに考えられる副作用

プロペシアはDHTの発生を減少させて、AGAの症状を抑える治療薬です。プロペシアを服用するにあたって次のような副作用があることを知っておきましょう。

男性機能の低下

個人差がありますが、プロペシアの服用によって男性機能の低下が考えられます。例えば、睾丸痛、男性不妊症、精液の質の低下、精子形態異常、勃起不全などです。プロペシアを服用してこれらの副作用が必ず発現するというわけではありませんが、子づくりを検討している人は男性機能の低下による悪影響が考えられるので、プロペシアを服用する前に医師に相談しましょう。

精神的な障害

プロペシアの服用によりDHTが減少すると、精神面での影響も考えられます。主に性的欲求の減退や抑うつ状態といった症状が確認されており、使用を継続するうえでそれらのリスクがあることを念頭に置いておきましょう。

肝機能障害

プロペシアは、肝機能が良くない人が服用すると、肝臓に負担をかけてしまう場合があります。健康診断で肝臓の異常を指摘されたことがある人は、必ず医師にそのことを伝えましょう。肝臓は沈黙の臓器とも言われ、症状がでにくいので副作用の管理には注意が必要です。

薬剤に対する過敏症

プロペシアを服用すると、ごく稀にかゆみや発疹、蕁麻疹、むくみといった反応が起こります。これは、薬剤に対して身体がアレルギー反応を起こしているためであり、全身のあらゆる場所で生じる可能性があります。アナフィラキシーショックなど重大なアレルギー症状を招く場合もあるため、プロペシアの服用でアレルギー反応がみられた場合、すぐに服用を中止する必要があります。

プロペシアを安全に使用するには

プロペシアを入手する方法には、医療機関の利用と個人輸入の2つがあります。しかし、個人輸入でプロペシアを入手する方法は安全性を欠くためおすすめできません。

通販サイトで個人輸入をするのは危険

プロペシアの入手手段として、通販サイトを利用して個人輸入する方法があります。専門の医療機関を仲介せず、安価で手軽に入手できるという反面、安全性に問題があるのです。偽薬、または粗悪品の可能性があるうえ、専門医との相談をせずに個人的な判断で服用することは、先にご説明した副作用を考慮すると、とても危険な行為です。

医療機関を通じてプロペシアを処方してもらう

プロペシアは、効能や副作用のリスクを十分に理解したうえで服用すべきです。専門の医療機関を利用する場合、詳細なカウンセリングや医師による健康の管理をしてもらえるうえ、治療の経過にあわせて治療内容を調整できるため、安全に治療が受けられます。万が一、副作用が現れても専門医の判断のもと早急に対応してもらうことができます。

プロペシアの服用は専門の医療機関で安全に行うべき

プロペシアはDHTの減少させることで、AGAの進行を抑制する治療薬です。プロペシアにおけるAGAの治療効果は、厚生労働省に正式に認められているため、高い治療効果が期待できます。その反面、プロペシアを服用するにあたって健康に大きく関わる副作用にも注意が必要です。プロペシアはその特性上、副作用のリスクを充分に理解したうえで服用するべきなので、専門の医療機関で医師の処方を受けてから使用しましょう。